鍼灸院・接骨院

鍼灸院の集客。広告に書ける事項が法律で限定されている前提で、何をどこに書くか

公開日: 2026-08-07

鍼灸院の集客は、他業種と前提が根本的に違います。広告に書ける事項が、法律で限定列挙されているからです。

「効果を書いてはいけない」という話ではなく、書いてよい事項が決められていて、それ以外は書けないという構造です。この前提を知らずに一般的な集客手法を当てはめると、そもそも実行できません。

この記事は、制約を条文で確認したうえで、書ける範囲で何をどこに置くかを整理します。

この記事でわかること

  • 広告できる事項が限定列挙されているという構造(条文で確認)
  • その制約の中で、Googleビジネスプロフィールに何を載せるか
  • 「集客できない」の原因を3段階に切り分ける方法
  • SNSやMEOを強化するほどポータルに送客する構造と、公式手順での外し方

前提: 広告できる事項は限定列挙されている

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第7条は、施術者または施術所の広告について、記載できる事項を列挙する形で制限しています。列挙されているのは、施術者である旨および氏名・住所、業務の種類、施術所の名称・電話番号・所在の場所、施術日または施術時間、その他厚生労働大臣が指定する事項といった項目です(出典: e-Gov法令検索・あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、2026-08-07取得)。

「これは書いてはいけない」というリストではなく、「これだけ書ける」というリストです。

この構造と、実務上の線引きは鍼灸院の広告規制広告の限界の中での工夫で扱っています。

集客への影響

一般的な集客の定石が、そのままでは使えません。

一般的な手法鍼灸院での可否
「◯◯に効きます」と効果を訴求する使えない
症例や改善例を並べる使えない
「地域No.1」「◯◯専門」といった訴求危険
施術所の名称・所在地・電話番号・施術時間の掲載書ける(列挙事項)
料金の明示実務上、掲示・案内として扱われる範囲がある
施術の内容そのものの説明慎重に。効果の訴求にならない範囲で

書ける事項が少ないぶん、書ける事項を完璧に埋めることが相対的に強い打ち手になります。

「集客できない」を3段階に切り分ける

段階1: 存在を知られていない

「地域名 鍼灸」「地域名 はり」で検索して出てこない。

段階2: 知られているが選ばれていない

鍼灸院は書ける情報が限られるぶん、書ける情報の記載漏れが致命的になります。

止まる原因の典型は次の3つです。

  • 料金が分からない
  • 施術時間が分からない(1回どれくらいかかるのか)
  • 初めてでも行っていいのか分からない

3つ目は、効果を書けない中でも、「初回の流れ」を書くことで解消できます。問診にどれくらいかけ、どう進むのかを事実として書くことは、効果の訴求とは別のことです。

段階3: 選ばれたが予約できていない

  • 予約が電話のみで、施術中は出られない
  • 施術時間が書かれておらず、何時に予約すべきか分からない
  • 予約リンクが未設定

段階3は費用ゼロで直せます。まずここから確認してください。

Googleビジネスプロフィール(無料・最優先)

Googleは、ローカル検索結果のランキングについて次のように公表しています。

ローカル検索結果は、主に関連性、距離、知名度に基づいて表示されます。

出典: Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」(2026-08-07取得)

同ページはオーナー確認、情報の充実(住所・営業時間・特別営業時間・業種・属性)、口コミへの返信、写真や動画の追加を推奨し、「Google では、ランキングを上げるためのリクエストや金銭の受け取りには一切応じておりません」とも明記しています(出典: 同上)。

鍼灸院で載せるべき内容は、法が列挙している事項と重なります。

項目内容
施術所の名称
所在地・電話番号
施術日・施術時間(特別営業時間を含む)列挙事項であり、Googleの推奨項目でもある
業種の設定Google側のカテゴリとして扱われる
属性駐車場・バリアフリー等
写真院内・外観。施術効果を示唆する画像は避ける
予約リンク後述

効果や適応症を書き足す余地はありません。そのぶん、上記を漏れなく正確に埋めることが打ち手になります。

口コミへの返信で注意すること

Googleはランキング改善のヒントとして口コミへの返信を挙げていますが、鍼灸院では返信内容に注意が要ります。

お客様が「腰痛が治りました」と書いていても、返信でそれを追認しないでください。

  • ✗ 「腰痛が改善されて何よりです」
  • ○ 「ご来院ありがとうございました。またお待ちしております」

お客様の投稿を削除する必要はありませんが、施術所側の発信として効果を肯定すると、広告該当性の問題が生じえます。

ホームページの扱い

ホームページが広告に当たるかについては、行政の解釈が分かれてきた経緯があります。慎重な運用が求められる領域です。

安全側の運用としては、次を中心にします。

  1. 施術所の基本情報(名称・所在地・電話番号・施術日・施術時間)
  2. 料金
  3. 初回の流れ(問診・施術・会計にかかる時間の配分)
  4. アクセス・駐車場
  5. 予約方法

避けるもの: 適応症の列挙、症例紹介、効果の断定、体験談の効果部分。

3の「初回の流れ」は、効果を訴求せずに不安を下げられる数少ない要素です。鍼が初めての人が知りたいのは効果より「痛いのか」「何をされるのか」なので、事実として書ける範囲で厚くしてください。

見落とされている構造: 集客するほどポータルに送客している

Googleビジネスプロフィールは、予約リンクを追加でき、カテゴリごとに最大10個まで設定できます(出典: Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ローカル ビジネス リンク」、2026-08-07取得)。

ポータルサイトに掲載している院では、このリンクがポータルを指していることがあります。自分で設定した場合だけではありません。

Google 検索と Google マップでは、特定のサービスへのリンクがビジネス プロフィールに自動的に表示されることがあります。こうしたリンクは、サードパーティ プロバイダによって提供、更新されるか、Google の自動データに基づいて生成されます。

出典: 同上(2026-08-07取得)

鍼灸院は書ける情報が少ないぶん、プロフィールを正確に埋める作業の相対的な価値が高い業態です。その成果がポータル経由の予約になると、損失も相対的に大きくなります。

直し方(公式手順)

  1. 優先リンクを設定する — 公式ヘルプは「プロフィールに複数のリンクがある場合は、上部に表示する優先リンクを『ビジネス優先』として設定することができます」としています(出典: 同上、2026-08-07取得)
  2. 不要な第三者リンクの削除をリクエストする — 同ヘルプに「プロバイダを削除」の手順が記載されています

ポータルをやめる話ではありません。掲載を続けたままでも、経路の内訳が正しく見えるようになります。掲載費の判定手順はホットペッパービューティーの掲載料はいくらかに、年間の差額の試算は損益分岐シミュレーターにまとめています。

自院の予約ページは、当社に限らず自社予約型のサービスであれば何でも構いません。無料枠のあるサービスもあります(美容室の予約システム比較に8サービスの料金と無料枠を並べています。比較対象は鍼灸院にもそのまま当てはまります)。

保険を扱う場合の注意

療養費の取扱いがある場合、保険が使える条件の説明も広告規制の対象になりえます。対象疾患・医師の同意書・償還払いといった仕組みを案内する際は、「保険が使えます」という断定的な打ち出しではなく、条件を正確に書いてください。

制度そのものは鍼灸院の保険療養費に、自費と保険のメニュー設計は自費と保険のメニュー設計にまとめています。

着手順

やること費用効果が出るまで
1既存の広告・Web上の記載を第7条の観点で見直す0円即時(リスク低減)
2予約リンクの向き先を確認・整理する0円即時
3Googleビジネスプロフィールの列挙事項を漏れなく埋める0円数週間
4料金・施術時間・初回の流れを明記する0円即時
524時間予約を受けられる状態にする0円〜即時
6口コミへの返信を習慣にする(効果を追認しない0円数か月
7経路別の予約内訳を3か月記録する0円3か月後に判断材料

1を最初に置いているのは、既存の記載に問題がある状態で露出を増やすと、リスクだけが増えるためです。

記録が無いと判断できない

3か月分の記録を取ってください。表計算で足ります。

記録する項目なぜ必要か
総来院数母数
新規/再来の内訳集客の課題か継続の課題かを分ける
経路別(Google/ポータル/紹介/看板)どこを強化すべきかが決まる
紹介の割合ここが自院の主要な経路なら、注力先が変わる

まとめ

  • 鍼灸院の広告は、書いてよい事項が限定列挙されている(あはき法第7条)。「効果を書かない」ではなく「列挙事項だけ書ける」という構造
  • そのぶん、書ける事項を漏れなく正確に埋めることが相対的に強い打ち手になる
  • 「集客できない」は3段階。鍼灸院は料金・施術時間・初回の流れの記載漏れが原因になりやすい
  • GBPは無料で最優先。載せる内容は法の列挙事項とほぼ重なる
  • 口コミへの返信で効果を追認しない
  • ホームページは慎重な運用が求められる領域。初回の流れは効果を訴求せずに不安を下げられる要素
  • GBPは第三者の予約リンクが自動表示されることがある。優先リンクの設定とプロバイダの削除で整理できる

よくある質問

鍼灸院の集客が難しいのはなぜですか?

広告に書ける事項が法律で限定列挙されているためです。あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第7条は、施術者や施術所の広告について、記載できる事項を列挙して制限しています。効果や適応症を自由に書けない状態で選ばれる設計が要ります。

何から始めるべきですか?

Googleビジネスプロフィールです。無料で、「地域名+鍼灸」で検索した人を受け止められます。掲載する内容は、施術所の名称・所在地・電話番号・施術日と施術時間といった、法が列挙している事項が中心になります。

ホームページには何を書けますか?

ホームページの位置づけについては行政の解釈が分かれてきた経緯があり、慎重な運用が求められます。広告該当性の判断に関わるため、効果や適応症を訴求する記載は避け、施術所の基本情報・施術内容の説明・料金・予約方法を中心にすることが安全側の運用です。

口コミに「治った」と書かれていたらどうすればいいですか?

お客様の投稿を削除する必要はありませんが、店側の返信でその内容を追認しないでください。「ご来院ありがとうございました」といった形に留め、効果を肯定する表現は避けてください。

SNSを頑張るとポータルサイトに送客してしまうというのは本当ですか?

予約リンクの向き先次第です。Googleビジネスプロフィールは第三者の予約リンクが自動的に表示されることがあると公式ヘルプに明記されています。優先リンクの設定とプロバイダの削除で整理できます。

集客できないときは何を疑えばいいですか?

順に3つです。存在を知られていない、知られているが選ばれていない、選ばれたが予約できていない。鍼灸院は書ける情報が限られるぶん、料金・施術時間・予約方法といった書ける事項の記載漏れが段階2・3の原因になります。