鍼灸院・接骨院

鍼灸院・接骨院は『技能・実績』を広告できない——あはき法・柔整師法の規制

公開日: 2026-07-20

鍼灸院・接骨院は、はり師・きゅう師・柔道整復師という国家資格にもとづく業態でありながら、広告できる内容は法律で限定的に定められています。この記事では、その具体的な内容と、実務でどう向き合うべきかを厚生労働省の公式資料にもとづいて解説します。

広告できる事項は法律で列挙されている

はり師・きゅう師の広告について、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(あはき師法)第7条は次のように定めています。

あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。 一 施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所 二 第一条に規定する業務の種類 三 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項 四 施術日又は施術時間 五 その他厚生労働大臣が指定する事項

出典: 厚生労働省 あはき・柔整広告ガイドラインの概要(2026-07-20取得)

この条文は、厚生労働省のガイドラインだけでなく、法令そのものにも同一の内容が明記されています。

あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。

出典: e-Gov法令検索 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第7条(2026-07-22取得)

「その他厚生労働大臣が指定する事項」として、告示により以下も広告可能とされています。

もみりょうじ/やいと、えつ/小児鍼/開設届をした旨/医療保険療養費支給申請ができる旨(申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)/予約に基づく施術の実施/休日又は夜間における施術の実施/出張による施術の実施/駐車設備に関する事項

出典: 同上(2026-07-20取得)

柔道整復師についても、柔整師法第24条に同様の限定列挙があり、対象疾患名や「接骨」「ほねつぎ」といった表現の範囲が個別に定められています。

「技能・施術方法・経歴」は広告できない

ここで押さえておきたいのが、あはき師法第7条の第2項です。

前項第一号乃至第三号に掲げる事項について広告をする場合にも、その内容は、施術者の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。

出典: 同上(2026-07-20取得)

つまり、氏名や施術所名を広告する場合であっても、「◯◯療法が得意です」「△△の症例を多数経験しています」といった技能・施術方法・経歴に関する説明を加えることは認められません。広告できる事項が法律で限定列挙されている点が、この業種の広告における大きな特徴です。

広告に該当するかどうかの3要件

すべての情報発信が広告規制の対象になるわけではありません。厚生労働省のガイドラインは、次の3要件をすべて満たす場合に「広告」に該当するとしています。

①利用者を施術所等に誘引する意図があること【誘引性】 ②施術者の氏名又は施術所等の名称が特定可能であること【特定性】 ③一般人が認知できる状態にあること【認知性】

出典: 同上(2026-07-20取得)

同ガイドラインは、学術論文・学術発表、新聞や雑誌の記事、利用者が自ら掲載する体験談・手記、施術所内で掲示・配付するパンフレット、利用者からの申出に応じて送付する資料などは、通常「広告」とは見なされないとしています。この線引きを踏まえた情報発信の工夫については、次回の記事で解説します。

まとめ

鍼灸院・接骨院の広告は、単に「何を書けるか」のリストがあるだけでなく、リストに載っている事項であっても技能・施術方法・経歴には触れられないという、二重の制約があります。集客の言葉選びは、この制約を正確に理解したうえで行う必要があります。