まつ毛エクステサロンは、ネイルサロンと同じく個人でも開業しやすい業態だとよく言われます。ただし、開業費用の構造は同じではありません。別記事で解説したとおり、まつエクは美容師免許に加えて「美容所」としての開設届出が必須であり、この違いが費用面にも表れます。
まつエクは「美容所」の設備投資が避けられない
ネイルサロンが美容師法の対象外で保健所への開設届も不要なのに対し、まつエクは美容行為として美容所の届出・施設基準を満たす必要があります。
まつ毛エクステンションは美容行為に該当するため、美容所の開設の届出が必要となります。また、営業時には適切な衛生措置をとる必要があります。
出典: 千葉県 まつ毛エクステンションによる危害防止について(2026-07-22取得)
美容所として保健所の確認を受けるには、消毒設備・区画・採光や換気といった施設基準を満たす内装工事が必要になります。ネイルサロンであれば不要なこの部分の投資が、まつエクの開業費用にはあらかじめ組み込まれていると考えておく必要があります。
費用項目の分類は美容室と同じ枠組みが使える
まつエクも美容師法上は美容業の一種であるため、日本政策金融公庫が理容業・美容業向けに示す資金の分類がそのまま参考になります。
【設備資金】店舗取得費(賃貸物件の敷金・保証金等)、内外装工事(コンセプトに合わせた内外装や看板等)、理美容機器(理美容の椅子、機械、染髪台等)、什器備品(テーブルや椅子、棚等)。【運転資金】材料代、家賃、人件費、水道光熱費、広告宣伝費、その他の経費(消耗品、通信費、Webサイトサーバー代など)。
出典: 日本政策金融公庫 理容業・美容業の創業ポイント(2026-07-22取得)
このページは理美容業全般を対象にしており、まつエク特化の金額までは公表していません。ただし、まつエクの場合、この分類の中身は美容室とは比重が異なります。染髪台やシャンプー台のような大がかりな理美容機器は不要な一方、施術用ベッド・拡大鏡・グルー(接着剤)等の消耗品といった、まつエク特有の設備・材料費が運転資金の中心になります。
美容室ほど重くなく、ネイルほど軽くもない
開業費用の水準は、資格・届出が不要なネイル(自宅サロンで100万円前後、テナント型で300〜700万円程度)と、内外装・設備投資が本格的な美容室との中間に位置づけて考えるのが実態に近いといえます。まつエクは美容所の施設基準を満たす内装工事が必要な分、ネイルより初期費用がかさみやすい一方、シャンプー台等の大型設備が不要な分、フルサービスの美容室ほどの規模は必要としません。具体的な金額の相場は公表されていないため、開業予定の物件が施設基準(消毒設備の設置場所・区画・採光換気等)を満たす改装でどの程度の工事が必要になるかを、内装業者・保健所への事前相談を通じて個別に見積もることが確実です。
保健所への届出費用は美容室と共通
美容所としての開設届手数料は、美容室の開業費用を整理した記事で解説したとおり、自治体ごとに16,000〜24,050円の幅で定められています。まつエクサロンも同じ「美容所」の届出区分に含まれるため、この手数料が同様に発生します。届出の具体的な流れ・注意点については、まつエクの開設届出を解説した記事を参照してください。
開業初期こそ、固定費を増やさない選択を
美容所の施設基準を満たす初期投資が避けられない分、開業後の月々の固定費はできるだけ抑えておきたいところです。予約管理を紙の予約帳や電話対応だけに頼ると、施術中に電話に出られず機会損失につながったり、後から有料の予約システムへ乗り換える手間が発生したりします。
開業時点から無料で使える予約システムを導入しておけば、次の点で開業初期の運転資金を圧迫しません。
- 初期費用・月額費用をかけずに、24時間ネット予約を受けられる
- 来店客の連絡先・施術履歴が最初から自分のデータとして蓄積される(後から別サービスに移行する必要がない)
- サロン検索サイトの掲載費用(月数万円〜)とは別に、自社の予約導線を持てる
開業前にどの程度の集客・売上を見込めるかを試算しておきたい場合は、損益分岐シミュレーターで家賃・人件費・広告費を入力して確認できます。
まとめ
まつエクサロンの開業費用は、ネイルのように資格・届出が不要な業態とは異なり、美容所としての施設基準を満たす設備投資が費用構造に組み込まれます。日本政策金融公庫が示す理美容業向けの資金分類を参考にしつつ、まつエク特有の設備(施術用ベッド・拡大鏡・グルー等)と、美容室ほどの大型設備は不要という点の両方を踏まえて見積もることが実態に近い準備につながります。開業初期の固定費を増やさない選択として、無料から始められる予約システムも検討してみてください。料金プランはこちらからご確認いただけます。