前回記事「まつ毛エクステの健康被害相談は増加傾向」で、まつ毛エクステの施術には美容師資格が必要であることを解説しました。しかし、これだけでは開業の要件を満たしません。施設そのものの届出という、別の手続きが必要です。
まつ毛エクステが「美容行為」に含まれる根拠
まず、まつ毛エクステが美容師法上の「美容」に含まれること自体を、厚生労働省自身のページで確認しておきます。
美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とされており、染毛やまつ毛エクステンションも美容行為に含まれる。
出典: 厚生労働省 美容師法の概要(2026-07-21取得)
千葉県の公式ページも、この点を実務上の届出義務として明確に説明しています。
まつ毛エクステンションは美容行為に該当するため、美容所の開設の届出が必要となります。また、営業時には適切な衛生措置をとる必要があります。
出典: 千葉県 まつ毛エクステンションによる危害防止について(2026-07-21取得)
届出をしないまま開業した場合の罰則
美容所の届出は、単なる事務手続きではありません。美容師法自体が、無届での営業に対する罰則を定めています。
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。一 第六条の規定に違反した者 二 第十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
出典: 厚生労働省 美容師法(昭和32年法律第163号 第18条、2026-07-21取得)
「無免許での営業」と「届出をしない営業」のいずれも、同じ第18条で罰則の対象になっています。届出は「できればやっておく」ものではなく、営業を続けるための前提条件だと捉えておく必要があります。
施術者の資格と施設の届出は別の話
「施術者が美容師免許を持っていれば、どこで施術してもよい」わけではありません。美容師法上、美容行為は保健所に届け出て確認を受けた「美容所」の中で行うことが原則です(出張施術など、特定の例外を除く)。まつ毛エクステ専門店として開業する場合も、通常の美容室と同じく、施設としての届出が必要になります。
出張・自宅サロンでも例外ではない
自宅の一室や、レンタルスペースを使ったまつ毛エクステサロンを検討している場合も注意が必要です。美容行為は原則として届出済みの美容所内で行う必要があり、届出をしていない場所での施術は、施術者本人の美容師免許の有無にかかわらず問題になりえます。開業形態(自宅サロン・シェアサロン・出張専門など)によって必要な手続きが異なるため、開業前に管轄の保健所に確認することが確実です。
開業準備で確認すべきこと
- 施術を行うスタッフ全員が美容師免許を持っているか
- 施術を行う場所が、美容所として保健所の届出・確認を受けているか
- 内装・設備(消毒設備等)が美容所の基準を満たしているか
- シェアサロン・レンタルスペースを利用する場合、その施設自体が美容所として届出済みかどうか
予約システム側で「新規メニュー・新規スタッフの追加は、資格確認と届出状況の確認が済んでから公開する」という運用を決めておくと、届出前の状態で予約を受けてしまうリスクを防げます。
まとめ
まつ毛エクステサロンの開業には、施術者個人の美容師免許に加えて、施設そのものを美容所として届け出るという、別の手続きが必要です。厚生労働省自身が「まつ毛エクステンションも美容行為に含まれる」と明記している以上、この2つを混同したまま開業準備を進めると、後になって営業できないという事態にもなりかねません。開業を検討する際は、早い段階で管轄の保健所に確認することをおすすめします。