まつ毛エクステは、まつ毛自体の生え変わり周期に沿って、時間とともに自然に取れていく施術です。この特性を正確に伝えるかどうかが、リピート予約に大きく影響します。前回記事「まつエクは施術時間が長い——予約枠の組み方で売上が変わる」で解説した予約設計とあわせて、リピートの仕組みとして活用してください。
「取れにくさ」だけを強調すると、次回予約が遠のく
「長持ち」「取れにくい」という訴求は、新規のお客様を集める際には効果的です。しかし、実際にはまつ毛の生え変わり周期がある以上、時間の経過とともに本数が減っていくのは自然な現象です。この点を事前に伝えないまま「長持ち」とだけ訴求すると、お客様が「思ったより早く取れた」と感じ、次の来店ではなく他店を探す原因になりかねません。
誇張した訴求は景品表示法上のリスクにもなる
「取れにくさ」の訴求は、集客文言としてだけでなく、表示規制の観点でも注意が必要です。景品表示法は、実際の内容よりも著しく優れているという印象を与える表示を禁止しています。
景品表示法第5条第1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの(中略)であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。
出典: 消費者庁 優良誤認とは(2026-07-21取得)
「〇週間持続」「一切取れない」といった表現を、実際の持ちの目安や個人差の説明なしに打ち出すことは、優良誤認表示に該当するリスクがあります。「自然な生え変わりで徐々に本数が減っていくため、個人差があります」という前提を添えた上で持続日数の目安を伝えることは、お客様への誠実さだけでなく、表示上のリスク回避にもつながります。
「いつ・どうなるか」を具体的に伝える
持続日数の説明は、単に「◯週間持ちます」という一言で終わらせず、経過に応じた変化を具体的に伝えることが有効です。
- 装着直後がもっとも密度が高く、時間とともに徐々に本数が減っていく自然な経過を説明する
- 部分的な減りが気になり始める目安の時期を伝え、その時期に合わせたリペア(補充)メニューを案内する
- 洗顔・クレンジングの方法など、持続日数に影響する日常のケアも併せて伝える
リペアメニューを「次回予約の理由」にする
フルの付け替えではなく、減った部分だけを補充する「リペア」メニューは、まつ毛エクステ特有の継続来店の仕組みです。持続日数の目安を伝える際に、リペアの推奨タイミングも合わせて案内し、その場で次回予約につなげることで、「そろそろ気になってきたけど、いつ行けばいいか分からない」という状態を防げます。
- 施術後の会計時に、リペアの推奨時期を踏まえた次回予約を提案する(例: 「3週間後くらいから減りが気になり始める方が多いので、その頃の枠を仮押さえしておきますか」)
- リペアメニューの存在と料金を、予約ページのメニュー一覧に分かりやすく掲載する
- 予約システムのリマインド機能を使い、施術日から一定期間後に「そろそろリペアの目安の時期です」という案内を自動で送る
正直な持続日数の説明は、無理な付け替えペースを避けることにもつながります。国民生活センターは、まつ毛エクステの施術に伴うリスクについて次のように注意を促しています。
まつ毛エクステンション(以下:まつ毛エクステ)は、目の粘膜に接して生えているまつ毛に、人工毛を瞬間接着剤等で接着する美容施術です。(中略)目の近くで接着剤などの化学物質を使用したり、異物を貼りつけたり、目元で細かな作業を行ったりすることは、目に負担をかける行為です。施術によっては、目に危害を受ける可能性があることを理解し、施術を受ける前によく考えましょう。
出典: 国民生活センター まつ毛エクステンションで目に傷が…(消費者トラブル解説集)(2026-07-22取得)
「長持ち」を強調しすぎて、お客様が「まだ大丈夫」と無理に間隔を空けたり、逆に「すぐ取れる」という不安から本来のペースより早い付け替えを求めたりする状態は、いずれも施術回数・接着剤の使用回数を不必要に増やす方向に働きます。持続日数の目安を正直に伝え、適切なリペアの間隔を提案することは、リピート促進だけでなく、目元への負担を不必要に増やさないための実務的な配慮でもあります。
まとめ
まつ毛エクステの持続日数は、誇張して伝えるほど、後になってお客様の期待とのズレを生むだけでなく、景品表示法上の優良誤認表示に該当するリスクも抱えます。自然な経過を正直に説明し、リペアメニューへの案内とセットにすることが、正規料金でのリピートを積み重ねるための実務的な工夫です。