「美容室 売上管理」で検索したときの派生語は、アプリ 無料 エクセル アプリ 管理表 ソフト に分かれます。全部が手段の名前です。
手段を探している段階で見落とされやすいのが、何を計測するのかという部分です。 ここが決まっていないと、どの手段を選んでも「売上の合計が分かるだけ」の状態になります。
そして売上の合計は、それだけでは打ち手に繋がりません。 先月より下がっていたとして、次に何をすればいいかが決まらないからです。
この記事は、見るべき数字と、エクセルで足りる範囲と足りなくなる境目を扱います。
この記事でわかること
- 売上の合計以外に何を計測すると打ち手が出るのか(6つの指標と、それぞれが繋がる打ち手)
- エクセルの管理表の列設計(そのまま作れる形)
- エクセルで足りなくなる4つの境目
- 予約データと売上データが同じ場所にあると何が出せるようになるか
- 予約管理では出せないもの(会計・レジ・経費・利益)
- 無料の範囲でどこまでできるか
- 数字を見る頻度と順番
「合計は分かるが、次に何をするか分からない」という状態
売上管理を始めた人が最初に作るのは、たいてい月ごとの売上を記録した表です。それ自体は正しい第一歩です。
問題は次の段階で起きます。「先月より5万円下がった」と分かったとき、原因が分からないのです。
原因の候補は複数あります。
- 来店数が減った
- 来店数は同じだが客単価が下がった
- 特定のスタッフの担当件数が減った
- 新規は増えたが既存が減った(新規は単価が低いので合計が下がる)
- 営業日数が少ない月だった
合計しか記録していないと、この5つを区別できません。 そして区別できないと、打ち手が決まりません。
必要なのは「分解できる形で記録すること」です。 合計を細かく記録することではなく、後から分解できる粒度で記録しておくということです。
何を計測するか
計測すべき指標と、それが繋がる打ち手を並べます。
| 指標 | 分かること | 繋がる打ち手 |
|---|---|---|
| 客単価 | 1回の来店でいくら使われているか | メニュー構成・追加メニューの提案 |
| 来店周期 | 何か月おきに来ているか | 案内を出す時期 |
| リピート率 | 定着しているか | 初回後の接客・次回予約の取り方 |
| 新規と既存の比率 | 集客と定着のどちらが動いたか | 広告を増やすか、既存に向き直るか |
| スタッフ別 | 誰の枠が埋まっていないか | 指名の作り方・シフト |
| メニュー別 | どのメニューが選ばれているか | メニュー表の並べ方・価格 |
この6つがあれば、売上が動いた理由を説明できます。 逆に、この6つに分解できない記録では説明できません。
とくに見落とされるのが「新規と既存の比率」
全体の客単価が下がったとき、原因が新規比率の上昇であることがよくあります。
新規のお客様はカットのみで来ることが多く、単価が低くなりがちです。新規が増えれば全体の平均は下がります。 つまり、集客がうまくいっている月に客単価が下がる、という現象が起きます。
これを区別せずに「客単価が下がった」と判断すると、逆の対策を打ちます。 集客を減らす方向に動いてしまうためです。
新規と既存を分けて記録するだけで、この誤読を防げます。 1列足すだけで足ります。
リピート率の計算方法はこの記事では扱いません
リピート率は、分母と分子の取り方で数字が大きく変わります。 「その月に来た人のうち2回目以上の人の割合」なのか、「初回来店の人がその後来た割合」なのかで意味が違います。
計算の定義と、美容室で意味のある取り方は美容室のリピート率で扱っています。この記事では「記録の粒度」の話に絞ります。
エクセルの管理表の列設計
管理表 の派生に対する回答です。そのまま作れる形で列を示します。
明細シート(1行1来店)
ここが本体です。 この1枚があれば、前述の6指標すべてが集計できます。
| 列 | 内容 | 必須か |
|---|---|---|
| 日付 | 来店日 | 必須 |
| 顧客ID | 連番。氏名は鍵にしない | 必須 |
| 顧客名 | 確認用 | 推奨 |
| 担当 | スタッフ名 | 必須(1人でも入れる) |
| メニュー | カット/カラー等 | 必須 |
| 金額 | その来店の合計 | 必須 |
| 区分 | 新規/既存 | 必須 |
| 備考 | 特記事項 | 任意 |
「区分」を必須にしているのは前述の理由です。 後から遡って埋めるのは困難なので、最初から入れてください。
メニューが複数のときは、行を分けるか、列を分けるかを決めておいてください。 混在すると集計が崩れます。金額の合計をずらしたくないなら、メニュー列に「カット・カラー」のように連結して入れ、金額はその来店の合計を1行に入れるのが扱いやすい形です。
集計シート(関数で自動的に出す)
明細シートから関数で引きます。手で転記しないでください。
| 出す数字 | 使う関数 |
|---|---|
| 月の売上 | SUMIFS(日付の範囲で絞る) |
| 月の来店件数 | COUNTIFS |
| 客単価 | 売上 ÷ 来店件数 |
| スタッフ別売上 | SUMIFS(担当で絞る) |
| メニュー別件数 | COUNTIFS(メニューで絞る) |
| 新規比率 | COUNTIFS(区分=新規)÷ 全件 |
| 最終来店日 | MAXIFS(顧客IDで絞る) |
| 来店回数 | COUNTIFS(顧客IDで絞る) |
最後の2つが、来店周期の管理に使えます。 MAXIFSで最終来店日が出れば、そこから「3か月来ていない人」を抽出できます。
この設計にする理由
やってはいけないのは、顧客ごとに横に来店を並べる形です。
顧客名 | 1回目 | 金額 | 2回目 | 金額 | 3回目 | 金額 …
この形にすると、月の売上を出すことすらできません。 日付が列に散っているため、期間で絞り込めないからです。
1行1来店にしておけば、どの軸でも集計できます。 これが唯一守るべき原則です。
エクセルで足りなくなる4つの境目
エクセルが悪いわけではありません。 続かなくなる、あるいは出せなくなる場面が4つあるという話です。
境目1:予約データと売上データが別の場所にある
これが最も本質的です。
予約は紙の台帳やアプリで管理していて、売上はエクセルに入力している。この状態だと、次のものが出せません。
| 出せないもの | 理由 |
|---|---|
| 客単価の推移 | 来店1件と金額が紐づいていない |
| 来店周期 | 誰がいつ来たかが売上側に無い |
| リピート率 | 同じ人の来店を数えられない |
| キャンセル率 | キャンセルは売上側に記録されない |
「売上だけ」を記録していると、6指標のうち客単価以外がほぼ出せません。 誰が来たかの情報が売上表に無いためです。
これは運用の努力では埋まりません。 予約側と売上側の両方に同じ人の情報を入れる作業を、毎回続けることになります。構造の問題です。
境目2:毎日の入力が続かない
エクセルの管理表は、入力する行為が営業と別のタイミングになります。
- 閉店後にレシートを見ながら入力する
- 週末にまとめて入力する
- 忙しい週は飛ぶ
飛んだ週があると、その月の数字が使えなくなります。 そして一度飛ぶと、遡って埋める作業が発生し、それが億劫になってさらに飛びます。
予約の受付と同時に記録される仕組みなら、入力という別作業が発生しません。 ここが手段を変える動機になります。
境目3:1来店1行になっていない
すでに管理表がある場合、この形になっていないことがあります。 月ごとの合計だけ、あるいは顧客ごとの横並びになっている形です。
これは移行しなくても直せます。 明細シートを新しく作り、今月から1行1来店で入れ始めてください。過去分を遡る必要はありません。3か月分溜まれば、推移が見えるようになります。
境目4:複数人が同時に触る
共有フォルダのファイルを2人が開くと、後から保存したほうが勝ちます。スタッフが売上を入力する運用にすると、この問題が出ます。
クラウドの表計算なら同時編集はできますが、今度は「誰でも全部の数字を見られる」状態になります。 スタッフ別売上が全員に見えることを許容できるかどうかの判断が要ります。
1人で入力しているなら、この境目には当たりません。
店販売上は分けて記録する
美容室では、施術の売上と店販(シャンプー等の物販)の売上を分けておく意味があります。
- 施術は時間の制約を受けますが、店販は受けません
- 客単価に店販が混ざると、施術の単価が動いたのか物販が動いたのかが分からなくなります
- 在庫を持つのは店販だけです
明細シートに「うち店販」の列を1つ足すだけで足ります。 分けておけば、施術単価と店販単価を別々に追えます。
なお、予約管理から出る売上には店販が入りません。 予約に紐づく金額しか記録されないためです。この点は後述します。
月をまたいで比べるときの注意
営業日数が違う月をそのまま比べないでください。 2月と3月では営業日が2〜3日違います。
揃える方法は簡単です。
1営業日あたり売上 = 月の売上 ÷ その月の営業日数
これで比べると、休みが多かった月の見かけの落ち込みが消えます。 逆に「営業日を増やしたから売上が増えた」だけの月も見分けられます。
同じ考え方で、臨時休業や研修で閉めた日は営業日数から除いてください。 除かないと、その月だけ1営業日あたりの数字が下がります。
数字から打ち手を出す例
指標を並べただけでは使えないので、実際の読み方を3つ挙げます。
例1:件数は同じなのに売上が下がった
確認する順番は決まっています。
- 新規と既存の比率を見る → 新規が増えていれば、それが原因の可能性が高い
- メニュー別の件数を見る → カラーの比率が下がっていないか
- スタッフ別を見る → 特定の担当だけ単価が低くなっていないか
1で説明がつくなら、対策は不要です。 新規が増えているのは良い変化で、その方々が2回目に来れば単価は戻ります。このとき打つべき手は「客単価を上げる」ではなく「その新規を定着させる」です。
例2:新規は入っているがリピート率が下がった
初回から2回目の間で何が起きているかを見ます。
- 次回予約を帰り際に取っているか
- 初回の施術内容が、2回目に繋がるものだったか(次に来る理由があるか)
- 案内を出す時期が、来店周期に合っているか
3番目は明細シートから出せます。 MAXIFSで最終来店日、COUNTIFSで来店回数が出るので、「2回来ていて、平均周期を過ぎている人」を抽出できます。 ここが案内を出す対象です。
具体的な打ち手は美容室のリピート率で扱っています。
例3:特定のスタッフの枠が埋まらない
スタッフ別の担当件数を月ごとに並べると分かります。
原因の候補は2つです。
| 原因 | 確認方法 |
|---|---|
| 指名が付いていない | 指名の有無で件数を分ける |
| シフトの入り方が予約の入る曜日と合っていない | 曜日別に担当件数を見る |
2番目のほうが多いです。 予約が集中する土日に入っていなければ、件数は伸びません。技術の問題として扱う前に、シフトと予約の入り方を突き合わせてください。
売上管理ソフトを選ぶときに見る4点
ソフト の派生に対する回答です。機能一覧を比べる前に、次の4つで絞ってください。
1. 予約と一体になっているか
これが最重要です。 前述の境目1がそのまま解けるかどうかの話です。
売上だけを入れるソフトを選ぶと、予約側からの転記が発生します。 転記が発生する構成は続きません。
2. データをCSVで書き出せるか
将来また変える可能性があります。 書き出せないソフトに3年分入れると、次に動けません。
「エクスポート」の記載を確認してください。 見つからなければ問い合わせて聞くほうが早いです。
3. 会計ソフトとの関係をどうするか
売上管理ソフトが会計まで担うことは、通常ありません。 経費と利益は別のソフトになります。
考えることは1つで、売上の数字を会計側にどう渡すかです。
| 方法 | 手間 |
|---|---|
| CSVで書き出して会計ソフトに取り込む | 月1回の作業 |
| 会計側で売上を直接入力する | 月1回の作業 |
| 連携機能を使う | 対応していれば楽 |
「月1回の作業」で十分回ります。 連携がないことを理由に選択肢を狭める必要はありません。
4. 複数店舗を持つ予定があるか
予定があるなら最初から確認してください。 店舗ごとに別アカウントになる構成だと、全店の合計を出すのに手作業が発生します。
予定がないなら、この項目は無視して構いません。
予約データと売上データが同じ場所にあると何が出せるか
境目1が構造の問題なので、ここを解くと出せるものが変わります。予約に金額が入っていれば、集計は自動的にできるようになります。
参考として、当サービスの分析画面で実際に表示している内容を挙げます(Basicプランの機能です)。
| 表示している内容 | 粒度 |
|---|---|
| 月次の目安売上 | 当月+過去6か月 |
| 予約件数の推移 | 完了・予定・キャンセル・ノーショーの内訳 |
| リピート率 | 月ごと |
| キャンセル/ノーショー率 | 月ごと |
| スタッフ別の売上と担当件数 | 月ごと |
| 人気メニューランキング | 月ごと(上位10件) |
「目安」という言葉を使っているのは意図的です。 画面にも次の注記を出しています。
表示される売上・件数は予約データに基づく目安です。実際の会計・売上金額はレジ(POS)をご確認ください。
予約データから計算しているため、レジの実売上とは一致しません。 店頭で追加した商品の販売、値引き、現金の誤差などは予約データに入っていないためです。
予約管理では出せないもの
ここは正直に書きます。売上管理と会計は別物です。
当サービスで出せないものを明記します。
| 出せないもの | どこでやるものか |
|---|---|
| 経費の記録・集計 | 会計ソフト |
| 利益(売上−経費) | 会計ソフト |
| 確定申告用の集計 | 会計ソフト |
| レジ機能・現金の管理 | レジ(POS) |
| 店販商品の在庫と売上 | POSまたは在庫管理 |
| 客単価の表示 | 自分で計算する(売上÷完了件数) |
| 新規と既存の内訳 | 出せない |
下2つは補足が必要です。
客単価は画面に表示されません。 月次の売上と完了件数の両方が出ているので、割れば出ます。ただし自動では出ません。
新規と既存の内訳は出せません。 前述のとおり、この区別は客単価の誤読を防ぐために重要ですが、当サービスの分析画面にはこの軸がありません。必要な場合は、予約データをCSVで書き出して集計してください。
CSVで書き出せる内容
書き出せる項目を正確に挙げます。
| 種類 | 列 |
|---|---|
| 予約 | 予約ID・開始日時・終了日時・メニュー・担当スタッフ・金額・ステータス・備考・作成日 |
| 顧客 | 名前・ふりがな・電話番号・メールアドレス・来店回数・最終来店日・メモ・登録日 |
1点、制約があります。 予約のCSVに顧客名や顧客IDの列がありません。つまり予約CSVだけでは「誰がいくら使ったか」を集計できません。 顧客ごとの単価を出したい場合は、顧客CSV側の「来店回数」を使うか、画面で個別に確認することになります。
これは正直に書いておくべき制約です。 顧客別の売上分析をエクセルでやりたい場合、現在の書き出し内容では組み立てられません。
料金と機能の範囲は料金プランに全項目を掲載しています。他社との比較はホットペッパーとの比較と美容室の予約システム比較に整理しています。
無料の範囲でどこまでできるか
アプリ 無料 が派生の先頭に来ています。無料でどこまでできるかを具体的に書きます。
一般論として、無料プランには次のいずれかで上限があります。
- 顧客数
- 月間の予約数
- スタッフ数
- 機能そのもの(分析画面が有料など)
「顧客数」で区切られているものは、続けているうちに必ず当たります。 予約数の上限は月ごとにリセットされますが、顧客数は積み上がるためです。
当サービスの無料プランは次のとおりです。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 月間予約 | 30件 |
| 顧客 | 20名 |
| メニュー | 5件 |
| スタッフ | 1名 |
そして分析画面はBasicプランの機能です。 無料プランでは「直近7日間の予約件数」のみが表示されます。
無料の範囲で売上管理をするなら、CSV書き出しと表計算の組み合わせが現実的です。 予約データを書き出して、前述の明細シートの形に整えて集計する形になります。この場合、入力の手間は減りますが集計は手作業です。
Basicプランは月額2,980円(年額29,800円)です。月に1件の来店が増えれば元が取れるかどうかは、自店の客単価で判断してください。
数字を見る頻度と順番
月1回で足ります。 日別の売上を毎日見ても打ち手は出ません。振れ幅が大きすぎて、意味のある変化かどうか判断できないためです。
見る順番
- 来店件数 — 増えたか減ったか。これが最初
- 客単価 — 件数が同じなのに売上が動いたなら、ここ
- 新規と既存の比率 — 客単価が動いた理由がここにあることが多い
- リピート率 — 既存が減っているなら、ここ
- スタッフ別・メニュー別 — 上の4つで説明できないときに開く
1から順に見て、説明がついたところで止めてください。 全部を毎月見る必要はありません。
週単位で見る意味があるもの
売上ではなく、予約の埋まり方です。
- 来週の予約が何件入っているか
- 空いている枠がどこか
これは月1回では遅すぎます。 空いている枠に対して手を打てるのは、その週が来る前だけです。
まとめ
- 売上の合計だけを記録していると、動いた理由を説明できない
- 記録すべきは合計ではなく1行1来店の明細。日付・顧客ID・担当・メニュー・金額・区分(新規/既存)の6列で足りる
- 「新規/既存」の1列が最も効く。客単価の低下が新規比率の上昇によるものかを区別できる
- 集計はSUMIFS・COUNTIFS・MAXIFSで足りる。顧客ごとに横に並べる形にすると月の売上すら出せない
- エクセルで足りなくなる境目は4つ。最も本質的なのは予約データと売上データが別の場所にあること(客単価以外がほぼ出せない)
- 1来店1行になっていない管理表は、移行せずに直せる。今月から作り直せばよい
- 予約管理と会計は別物。経費・利益・確定申告用の集計・レジ機能は範囲外で、会計ソフトが必要
- 予約データから出る売上は目安。実際の会計数値はレジで確認する
- 数字は月1回、来店件数→客単価→新規比率→リピート率の順に見て、説明がついたら止める
- 予約の埋まり方だけは週単位で見る