理容室・バーバー

理容室の客単価は15年で2割弱下がった——価格競争に頼らない対策

公開日: 2026-07-20

理容室の客単価は、統計上、長期的に下落傾向にあります。この記事では、まず現状を公式データで確認したうえで、価格を下げる以外の対策を厚生労働省のマニュアルにもとづいて整理します。

客単価は15年間で2割弱下落している

厚生労働省が公開する理容業向けマニュアルは、総務省「家計調査」にもとづき次のように示しています。

1回の利用金額は約2,610円 ここ15年間で、理容室に対する1世帯当たりの年間利用回数は2.25回から1.73回へと減り、利用金額は7,110円から4,516円へと減少しています。1回当たりの金額は3,160円から2,610円へと2割弱の減額傾向にあります。

出典: 厚生労働省 収益力の向上に向けた取組みのヒント 理容業編(生活衛生関係営業の生産性向上を図るためのマニュアル)(総務省「家計調査」、2026-07-20取得)

利用回数・利用金額とも減少しており、業界全体として単価・頻度の両面で縮小圧力がかかっていることが、公的統計から確認できます。この流れに対して、価格を下げてお客様を呼び込む対応は、単価下落をさらに加速させることになります。一方で理容室には固定客比率の高さという統計上の強みもあり、単価対策と定着対策は両輪で考える必要があります。

客単価アップの方向性: 新メニュー・オプション提案

同マニュアルは、客単価向上の具体策として、基本のカット・シェービングに加えたオプションメニューの充実を挙げています。

シェービング・顔そりだけでなく、レディスカットをはじめ毛髪・頭皮ケアであるスカルプケア、エステやパック等のフェイシャルケア、ヘッドスパ・マッサージ等の癒し系サービスは、男女を問わず人気の理容メニューです。(中略)基本メニューとの組み合わせ、男女に応じた施術の特長や魅力を伝える等、オプション・メニューを用意し、単価アップと来店客増を目指しましょう。

出典: 同上(2026-07-20取得)

消費者調査でも、20〜50代男性の2割が「頭皮ケア」への関心を示しているという結果が示されており、カット・シェービング以外の需要が一定数存在することが分かります。

20-50代男性は"頭皮ケア"に関心有り 20-50代の男性は、「ヘッドスパ」や「スカルプケア」を利用したいとする割合が高く、2割が頭皮ケアに関心があります。

出典: 同上(2026-07-20取得)

メニュー表・予約導線での見せ方

オプションメニューを用意しても、お客様がその存在に気づかなければ客単価向上にはつながりません。オンライン予約の段階で、基本メニューと並べてオプションを選べるようにしておくと、来店前の検討段階で追加を決めてもらいやすくなります。

「頭皮ケア」の効果を訴求する際の注意

ヘッドスパ・スカルプケアといったオプションの説明では、効果を強く打ち出したくなりますが、実際より優れていると誤認させる表示は景品表示法で禁止されています。

事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すもの(中略)であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

出典: 消費者庁 優良誤認とは(2026-07-22取得)

「薄毛が改善します」のような医療的な効果を保証する表現ではなく、「頭皮の状態を整えるケアです」「リフレッシュ効果のあるメニューです」のように、施術内容の範囲にとどめた説明にしておくことが、集客と表示規制の両立につながります。

  • 基本メニュー(カット等)とオプション(ヘッドスパ・スカルプケア・フェイシャル等)を分けて表示する
  • 頭皮ケアへの関心が高い年齢層には、施術中の提案だけでなく予約画面での案内も有効
  • レディス対応メニューがある場合は、その旨をメニュー表で明示する

まとめ

理容室の客単価下落は、公的統計で裏付けられた業界全体の傾向です。価格を下げて対抗するのではなく、頭皮ケア・フェイシャルケアといったオプションメニューを整備し、その存在を予約段階から伝えることが、厚生労働省のマニュアルが示す現実的な対策です。