マッサージ・リラクゼーション

『マッサージ』を名乗れないリラクゼーション店が、伝わる広告表現を作る方法

公開日: 2026-07-20

前回の記事「リラクゼーション店は『マッサージ』と名乗れない」で解説したとおり、無資格のリラクゼーション業は広告に「マッサージ」という言葉を使えません。厚生労働省は、この制度の前提を次のように説明しています。

医師以外の方が、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復の施術所等において、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅう及び柔道整復を業として行おうとする場合には、(中略)それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を、柔道整復師法においては、柔道整復師免許を受けなければならないと規定されており、無免許でこれらの行為を業として行ったものは、同法により処罰の対象になります。

出典: 厚生労働省 無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について(2026-07-22取得)

「マッサージ」という言葉は、単なる言い回しではなく、無資格者が使うと「マッサージを業として行っている」という誤解を招きかねない、制度上の意味を持つ言葉です。とはいえ、お客様に施術内容が伝わらなければ集客につながりません。この記事では、言葉の制約の中で価値を伝える広告表現の作り方を解説します。

「何をするか」より「どうなるか」を伝える

「マッサージ」という言葉は、実は施術内容そのものより「揉んでもらえる」というイメージを伝える役割が大きい言葉です。この言葉を使わずに同じイメージを伝えるには、施術の手技名ではなく、お客様が得られる状態を軸に説明するのが有効です。

  • 「肩まわりの張りが軽くなる」
  • 「一日の疲れをリセットする」
  • 「デスクワークで固まった首・肩をほぐす」

このように、結果を主語にした説明文であれば、「マッサージ」という言葉を使わなくても、お客様は施術後の状態をイメージしやすくなります。

メニュー名の工夫

メニュー名自体も、「マッサージ」を含まない表現に置き換える必要があります。業界で広く使われている表現には次のようなものがあります。

避ける表現言い換えの例
オイルマッサージオイルトリートメント、オイルボディケア
フットマッサージフットケア、足つぼケア
全身マッサージ全身もみほぐし、全身ボディケア

これらは業界内で慣用的に使われている表現であり、法律で定められた指定用語ではありません。判断に迷う表現は、開業予定地の保健所に個別に確認することをおすすめします。

「資格を隠す」のではなく「業態を正しく伝える」

言葉の言い換えは、無資格であることを隠すためのテクニックではありません。むしろ逆で、「当店は国家資格による医療的な施術ではなく、リラクゼーション目的の施術を行っています」ということをお客様に正しく伝えるための表現です。

予約ページやメニュー説明に、次のような一文を添えておくと、お客様との認識のズレを防げます。

  • 「当店は医業類似行為としての施術ではなく、リラクゼーション目的の施術を行っております」
  • 「慢性的な痛みや医療的な処置が必要な場合は、医療機関の受診をおすすめします」

このような案内は、整体院で『保険が使えます』と案内してよいかで解説した「保険適用外であることを明示する」考え方とも共通しています。

言い換えた表現も、誇張は避ける

「マッサージ」を避けて別の言葉に置き換えても、その表現自体が実際の効果より優れていると誤認させるものであれば、別の問題が生じます。景品表示法は、実際より著しく優良であると誤認させる表示を禁止しています。

事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すもの(中略)であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

出典: 消費者庁 優良誤認とは(2026-07-22取得)

「一日の疲れをリセットする」のような体験の説明はよいものの、「凝りが根本から解消する」のように、施術結果を保証するかのような言い換えは、「マッサージ」という言葉を避けていても優良誤認表示の問題を新たに生む可能性があります。言葉の言い換えは、規制を回避する手段ではなく、実際に提供できる価値を正確に伝える手段として使うことが前提です。

まとめ

「マッサージ」という言葉を使えないことは制約ですが、裏を返せば、施術の結果や体験を言葉で伝える工夫を磨く機会でもあります。お客様が得られる状態を軸にした広告表現と、業態を正しく伝えるメニュー説明を組み合わせることで、法律を守りながら魅力を伝えられます。