「アイブロウは美容師免許がなくとも施術可能」——このような説明を掲げるスクールや業者のホームページを見かけたことはないでしょうか。この主張は、少なくとも自治体の公式見解とは食い違っています。
自治体は「美容師免許が必要」と明言している
さいたま市は、2026年6月に更新した公式ページで、この種の主張に直接反論しています。
近年、一部の業者等により「アイブロウは美容師免許がなくとも施術可能」「薬剤やワックスを用いてまゆ毛を整える行為は美容師免許不要」などと称するホームページ等が散見されています。当市ではこれらの行為も、美容師免許が必要な美容行為と判断しています。美容師免許を持たない者がこれらの美容行為を業として行うことはできません。
出典: さいたま市 無資格での美容行為にご注意ください(まつ毛・まゆ毛の施術:アイブロウ、まつ毛エクステンション等)(2026-07-21取得)
「首から上を美しくする行為」という判断基準
この見解は、美容師法第2条の定義と厚生労働省の通知にもとづいています。
美容師法第2条では、『この法律で「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。』と定義されています。また、平成20年3月7日付健衛発第0307001号厚生労働省健康局生活衛生課長通知では、『通常首から上の容姿を美しくすることと解されているところである。』とされています。
出典: 同上(2026-07-21取得)
この「美容」の定義自体は、厚生労働省自身のページでも一貫して示されています。
美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とされており、染毛やまつ毛エクステンションも美容行為に含まれる。
出典: 厚生労働省 美容師法の概要(2026-07-22取得)
自治体の解釈と厚生労働省自身の説明が一致していることからも、「首から上を美しくする行為」という枠組みで眉毛の施術が美容師法の対象になるという解釈は、さいたま市固有の運用ではなく全国共通の理解であることが分かります。つまり、開業予定地の自治体が異なっていても、「ワックス脱毛・カットで眉の形を整える施術には美容師免許が必要」という結論自体は変わりません。開業を検討している自治体の窓口に個別に確認する場合も、争点になるのは「美容師免許が必要かどうか」ではなく、届出内容や設備要件の詳細だと考えておくと話が早くなります。
具体的に美容師免許が必要とされる行為として、まゆ毛のカット・脱毛・カラー・まゆ毛メイク・アイブロウが明記されています。
まゆ毛のカット、脱毛(※)、カラー、まゆ毛メイク、アイブロウ等 薬剤・ワックス・テープ・器具・手指等を用いたまつ毛やまゆ毛の施術、形状を整える行為等
出典: 同上(2026-07-21取得)
ワックスによる眉毛の脱毛・形状を整える施術は、この一覧に明確に含まれています。
違反した場合の罰則
美容師免許を持たずに美容行為を業として行った場合の罰則も明記されています。
美容師以外が業として美容行為を行った場合(美容師法第6条違反)(行為者に対して)同法第18条第1号:30万円以下の罰金
出典: 同上(2026-07-21取得)
さらに、美容所の開設者が無資格者に施術をさせた場合は、美容所の閉鎖命令の対象にもなります。
まとめ
「アイブロウは資格不要」という説明を根拠に開業・採用を判断すると、法令違反のリスクを抱えることになります。眉毛の脱毛・形状を整える施術を行うスタッフには、美容師免許を確認したうえで配置する必要があります。民間資格との違いについては、次回の記事で解説します。