眉毛サロンのメニュー表を見ると、「眉スタイリング 3,000円」のように単一メニューだけが並んでいる店舗があります。選択肢が1つしかないメニュー表では、お客様は「やるか、やらないか」でしか判断できません。この記事では、メニューを段階分けすることで客単価を見直す考え方を解説します。
選択肢が1つだと、単価は上がらない
メニューが1種類しかない場合、お客様が選べるのは「利用する・しない」の二択だけです。もっと丁寧な仕上がりを求めているお客様がいたとしても、その希望に応える価格帯の選択肢自体が存在しなければ、単価は上がりようがありません。
3段階(松竹梅)で選択肢を作る
価格帯を3段階に分けることで、お客様自身に「どこまで求めるか」を選んでもらえるようになります。
- 梅(ベーシック): 形を整える基本施術のみ
- 竹(スタンダード): 基本施術+眉ティントやワックスによる産毛処理など、仕上がりの持続性を高める要素を追加
- 松(プレミアム): スタンダードの内容に加え、眉メイクの提案やホームケア用品の案内など、来店後のケアまで含めたフルサポート
3段階の価格差が大きすぎると中間の「竹」が選ばれにくくなるため、真ん中の選択肢が最も選びやすい価格バランスを意識することがポイントです。
メニュー名と説明文で差を伝える
段階を作っても、その違いがお客様に伝わらなければ選ばれません。オンライン予約のメニュー説明欄に、それぞれのメニューで「何が違うのか」「どんな人に向いているか」を具体的に書いておくことが重要です。
- 「初めての方はこちら」「持続性を重視する方はこちら」など、選ぶ基準を示す
- 施術時間の違いも明記し、時間に余裕のあるお客様がプレミアムメニューを選びやすくする
- 差額に見合う内容の違いが伝わる説明文にする(単に「上位版」とだけ書かない)
「通常価格」を比較対照に使う場合の注意
3段階のメニューを打ち出す際、「通常5,000円のところ、松コースなら実質4,000円相当」のように、他の価格と比較して割安感を訴求したくなる場面があります。ここで注意が必要なのが、消費者庁が示す二重価格表示の考え方です。
同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照価格とする場合には、不当表示に該当するおそれはありません。同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえない価格を比較対照価格に用いる場合には、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるかなどその内容を正確に表示しない限り、不当表示に該当するおそれがあります。
出典: 消費者庁 二重価格表示(2026-07-22取得)
つまり、実際にはその価格で販売した実績がないのに「通常価格」を掲げて割安さを演出すると、不当表示に問われるおそれがあります。3段階メニューの価格差を訴求する際は、それぞれの価格が実際に一定期間提供されてきた実績のある価格かどうかを確認したうえで表示することが安全です。
施術例の写真で選んでもらう際の配慮
松・竹・梅それぞれの仕上がりの違いは、文章だけでなく実際の施術例の写真を添えるとお客様に伝わりやすくなります。ここでも、以前の記事で触れた本人と判別できる写真の扱いに関する考え方が関わってきます。
一般的に、本人を判別可能な写真の画像は個人情報には該当しますが、個人データ(個人情報データベース等を構成する個人情報)ではないと解されるため、あらかじめ本人の同意を得ずに展示等を行っても、法第27条第1項に違反するおそれはないと解されますが、利用目的を通知又は公表することは必要です(法第21条第1項)。なお、プライバシーの権利や肖像権の侵害に当たる場合もあるため、例えば展示期間を限定したり、不特定多数の者への提供に際しては自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましいと考えられます。
出典: 個人情報保護委員会 会社の行事で撮影された写真などを、当社内で展示する場合、写真に写っている本人からあらかじめ同意を得る必要がありますか。(2026-07-22取得)
各コースの施術例をメニュー説明に載せる際は、施術後に「メニューの参考写真として掲載してもよいか」を一言確認しておくと、法律上の義務の有無にかかわらず、トラブル回避の観点で望ましい運用になります。
まとめ
眉毛サロンの客単価向上は、価格を上げることではなく、選択肢を増やすことから始められます。松竹梅の3段階でメニューを設計し、それぞれの違いを予約ページで丁寧に説明することが、お客様が納得して単価の高いメニューを選ぶきっかけになります。単価そのものではなく初回割引に頼らずリピートを増やすという角度からの客単価向上策もあわせて検討する価値があります。