エステサロン

エステの広告は『誇大広告』が法律で禁止されている——特定商取引法第43条

公開日: 2026-07-21

「劇的に変わる」「誰でも必ず効果を実感」——エステの広告で効果を強く訴求したくなる場面は多いはずです。しかし、特定継続的役務提供に指定されているエステティックには、広告表現そのものを規制する条文があります。

誇大広告等の禁止

特定商取引法第43条は、特定継続的役務提供の広告について次のように定めています。

特定商取引法は、誇大広告や著しく事実と相違する内容の広告による消費者トラブルを未然に防止するために、役務の内容などについて、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。

出典: 消費者庁 特定商取引法ガイド 特定継続的役務提供(2026-07-21取得)

「著しく事実に相違する」「著しく優良・有利と誤認させる」という基準は、景品表示法の考え方と共通しています。エステの場合、施術効果・料金・期間などの表示がこの基準に触れないよう、特に注意が必要です。

勧誘・解約時の不当な行為も禁止されている

広告だけでなく、契約の勧誘時・解約時の行為についても規制があります。

特定商取引法は、特定継続的役務提供における、以下のような不当な行為を禁止しております。契約の締結について勧誘を行う際、又は契約の解除を妨げるために、事実と違うことを告げること 契約の締結について勧誘を行う際、故意に事実を告げないこと 契約を締結させ、又は契約の解除を妨げるために、相手を威迫して困惑させること

出典: 同上(2026-07-21取得)

「今解約すると違約金が高額になりますよ」といった、事実と異なる説明で解約を思いとどまらせる対応は、この禁止行為に該当するおそれがあります。前回記事「エステの中途解約、請求できる金額には法律の上限がある」で解説した法定の上限額を超える説明をすることは、この観点からも避ける必要があります。

ビフォーアフター表現で気をつけたいこと

施術効果を伝えるビフォーアフター写真・体験談は、エステの広告で特によく使われる表現です。次の点を意識することで、誇大広告のリスクを減らせます。

  • 特定の個人の結果を、あたかも「誰でも同じ効果が得られる」かのように一般化した表現をしない
  • 効果の持続期間や条件(施術回数・期間)を明記せずに、断定的な表現を使わない
  • 加工・編集によって実際以上の変化を演出しない

ビフォーアフター写真の掲載には本人への配慮も必要

誇大広告の規制とは別に、写真そのものの扱いにも注意が必要です。本人と判別できる写真の掲載について、個人情報保護委員会は次のような考え方を示しています。

一般的に、本人を判別可能な写真の画像は個人情報には該当しますが、個人データ(個人情報データベース等を構成する個人情報)ではないと解されるため、あらかじめ本人の同意を得ずに展示等を行っても、法第27条第1項に違反するおそれはないと解されますが、利用目的を通知又は公表することは必要です(法第21条第1項)。なお、プライバシーの権利や肖像権の侵害に当たる場合もあるため、例えば展示期間を限定したり、不特定多数の者への提供に際しては自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましいと考えられます。

出典: 個人情報保護委員会 会社の行事で撮影された写真などを、当社内で展示する場合、写真に写っている本人からあらかじめ同意を得る必要がありますか。(2026-07-22取得)

広告用のビフォーアフター写真は「不特定多数の者への提供」に当たるため、法律上の義務の有無にかかわらず、撮影時に「広告に使用する場合がある」旨を伝え、同意を得た上で使用する運用にしておくと、誇大広告の観点とあわせてリスクを抑えられます。

まとめ

エステの広告表現は、特定商取引法第43条により誇大広告等が明確に禁止されています。効果を伝えたい気持ちが強いほど、表現が「著しく優良・有利」に寄りやすくなるため、事実に即した表現を心がけることが、法令遵守とお客様からの信頼の両方につながります。