エステサロン

エステのコース設計は『通う理由』を積み重ねる発想で組み立てる

公開日: 2026-07-21

エステのコースは、法律上の位置づけだけでなく、お客様にとっての体験としての設計も重要です。ここでは、法令の話から少し離れて、コースそのものの組み立て方を考えます。

「同じ施術の繰り返し」では通う理由が弱い

「フェイシャル10回コース」のように、同じ内容を回数分繰り返すだけの構成では、お客様は「あと何回で終わるか」を数えながら通うことになります。数回受けた時点で変化を実感しにくいと、途中で通うモチベーションが下がりやすくなります。

段階を分けて「今どこにいるか」を伝える

コースを、目的の異なる段階に分けて設計すると、お客様は「今は集中ケアの段階」「次は維持の段階」というように、自分がどこにいるかを把握しやすくなります。

  • 導入期: 肌・体の状態を整えることに重点を置いた施術
  • 集中期: 目的(毛穴・たるみ・むくみ等)に応じた重点的な施術
  • 維持期: 変化した状態を保つための、頻度を落とした施術

この構成であれば、「あと何回」ではなく「次はどの段階に進むか」という前向きな捉え方でコースを進めてもらいやすくなります。

段階の切り替わりをカウンセリングで伝える

段階が変わるタイミングで、簡単なカウンセリング・肌診断等を行い、変化を言葉や記録で伝えることは、お客様自身が効果を実感する機会になります。前回記事「エステの広告は『誇大広告』が法律で禁止されている」で触れたとおり、効果の表現には慎重さが求められますが、お客様自身の記録にもとづいた個別の変化を丁寧に伝えることは、誇大広告とは異なる、信頼構築の手段です。

この違いは、景品表示法が定める「優良誤認表示」の考え方からも説明できます。

事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すもの(中略)であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

出典: 消費者庁 優良誤認とは(2026-07-22取得)

問題になるのは「実際の効果より著しく優良に見せる一般化された表現」であって、目の前のお客様自身の記録にもとづいた個別の説明ではありません。この線引きを理解しておくと、段階ごとの変化を伝える際にどこまでなら安心して踏み込めるかの判断がしやすくなります。

進捗記録・写真の扱いにも配慮する

段階の切り替わりを伝える際、施術前後の写真や測定記録をお客様自身に見せることは効果的ですが、これらの記録を蓄積・保管する以上、写っている本人への配慮も必要です。

一般的に、本人を判別可能な写真の画像は個人情報には該当しますが、個人データ(個人情報データベース等を構成する個人情報)ではないと解されるため、あらかじめ本人の同意を得ずに展示等を行っても、法第27条第1項に違反するおそれはないと解されますが、利用目的を通知又は公表することは必要です(法第21条第1項)。なお、プライバシーの権利や肖像権の侵害に当たる場合もあるため、例えば展示期間を限定したり、不特定多数の者への提供に際しては自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましいと考えられます。

出典: 個人情報保護委員会 会社の行事で撮影された写真などを、当社内で展示する場合、写真に写っている本人からあらかじめ同意を得る必要がありますか。(2026-07-22取得)

お客様本人に見せるだけであれば大きな問題は生じにくいものの、他のお客様への訴求例として使う場合は、撮影時に用途を伝えて同意を得ておくと安心です。

予約の組み方をコース設計に合わせる

導入期は間隔を詰めて、維持期は間隔を空けるなど、段階によって適切な来店頻度は変わります。予約システム上で、コースの段階ごとに推奨頻度を設定できると、次回予約の案内もその段階に合わせて自然に行えます。

まとめ

エステのコースは、同じ施術の繰り返しではなく、導入・集中・維持という段階を意識して設計することで、お客様が「今どこにいるか」を実感しながら通い続けられるようになります。段階の切り替わりを丁寧に伝えるカウンセリングと、段階に合わせた予約導線を組み合わせることが、コースの定着率を高める工夫です。