整体院・カイロプラクティックの開業費用は、別記事で解説したとおり「資格不要」という制度上の特徴が費用構造にも表れます。まつエク・アイブロウのような美容所の届出・施設基準どころか、保健所への届出そのものが対象外であるため、ネイルサロンと並んで開業のハードルが低い業態です。
資格も保健所届出も不要——ネイルと同じ低コストの理由
整体・カイロプラクティックは、厚生労働省が「医業類似行為」に分類する施術のうち、国家資格が必須なあん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復には含まれません。
あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、(中略)当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること。
出典: 厚生労働省 医業類似行為に対する取扱いについて(医事第58号)(2026-07-22取得)
別記事で解説したとおり、整体院は美容室・理容室のような「美容所・理容所」としての保健所届出も対象外です。この2点が、まつエク・アイブロウの開業費用に組み込まれていた「美容所の施設基準を満たす内装工事」という費用要因を、整体院からは取り除きます。
費用項目の分類は理美容業と同じ枠組みが使える
整体院の開業費用も、日本政策金融公庫が理容業・美容業向けに示す資金分類がおおむね参考になります。
【設備資金】店舗取得費(賃貸物件の敷金・保証金等)、内外装工事(コンセプトに合わせた内外装や看板等)、理美容機器(理美容の椅子、機械、染髪台等)、什器備品(テーブルや椅子、棚等)。【運転資金】材料代、家賃、人件費、水道光熱費、広告宣伝費、その他の経費(消耗品、通信費、Webサイトサーバー代など)。
出典: 日本政策金融公庫 理容業・美容業の創業ポイント(2026-07-22取得)
このページは理美容業全般が前提で、金額の水準は整体院とは異なります。ただし整体院の場合、「理美容機器」に当たる部分は施術用ベッド・椅子程度で足り、美容室のような染髪台・シャンプー台や、脱毛・エステのような専用機器は不要です。設備資金の中心は、内外装工事と施術スペースの什器備品にとどまります。
保健所の設備基準が無い分、物件選びの自由度が高い
美容所・理容所は保健所の確認を受けるため、消毒設備の設置場所や区画・採光換気といった施設基準を満たす内装工事が必要になります。整体院にはこの基準が適用されないため、施術ベッドを置けるスペースと、着替え・待合の動線を確保できれば、小規模な物件でも開業できる点が特徴です。テナントの取得費・内外装工事費を抑えやすいという意味で、まつエク・アイブロウよりもネイルサロンに近い費用構造だといえます。
回数券販売の準備も運転資金に含めておく
別記事で解説したとおり、整体院は特定継続的役務提供の対象外のため、回数券にクーリングオフ・書面交付の法的義務はありません。ただし、有効期限・途中解約のルールを自主的に整備し、消化状況を管理できる予約システムを用意しておくことは、開業準備の一部として見込んでおくとよい費用です。
開業初期こそ、固定費を増やさない選択を
資格・届出・施設基準の面で初期費用を抑えやすい分、開業後の月々の固定費もできるだけ小さく始めたいところです。予約管理を紙の予約帳や電話対応だけに頼ると、施術中に電話に出られず機会損失につながったり、後から有料の予約システムへ乗り換える手間が発生したりします。
開業時点から無料で使える予約システムを導入しておけば、次の点で開業初期の運転資金を圧迫しません。
- 初期費用・月額費用をかけずに、24時間ネット予約を受けられる
- 回数券の消化状況をお客様自身が確認できる仕組みを、追加費用なく整えられる
- サロン検索サイトの掲載費用(月数万円〜)とは別に、自社の予約導線を持てる
開業前にどの程度の集客・売上を見込めるかを試算しておきたい場合は、損益分岐シミュレーターで家賃・人件費・広告費を入力して確認できます。
まとめ
整体院・カイロプラクティックの開業費用は、資格・保健所届出のいずれも不要という制度上の特徴により、ネイルサロンと並ぶ低コストで開業できる業態です。日本政策金融公庫が示す理美容業向けの資金分類を参考にしつつ、施術用ベッド中心の軽い設備投資と、保健所の設備基準が無い分の物件選びの自由度を踏まえて見積もることが実態に近い準備につながります。開業初期の固定費を増やさない選択として、無料から始められる予約システムも検討してみてください。料金プランはこちらからご確認いただけます。