リラクゼーション業は、施術1回あたりの単価がわかりやすく設定されている業態です。基本コースの値上げは既存のお客様の離脱リスクを伴いますが、オプションメニューの追加であれば、基本料金はそのままに客単価を上げられます。この記事では、オプションメニューの設計の考え方を解説します。
基本コースとオプションを分ける理由
「全身60分」のような基本コースに全ての要素を詰め込んでしまうと、価格に対する納得感が下がりやすくなります。基本コースをシンプルにし、望むお客様だけが追加できるオプションを用意することで、次のような効果が期待できます。
- 基本料金の分かりやすさを保ったまま、単価を上げる選択肢を作れる
- お客様自身が「今日はこのオプションも欲しい」と選ぶ体験そのものが満足度につながる
- スタッフ側も、基本施術の中で気になった部位を「オプションでいかがですか」と自然に提案できる
オプションメニューの設計例
- 延長オプション(例: 全身60分+部分15分延長): 施術中に「もう少しここを重点的に」というニーズに応える
- ヘッド・フェイスなど部位追加オプション: 基本コースの対象外の部位を追加できるようにする
- アロマ・ホットストーンなどの演出オプション: 施術内容そのものより、体験の質を上げる付加価値
- 仕上げのストレッチ・骨盤調整オプション: 施術後の変化を実感しやすい仕上げの工程
オプション提案のタイミング
オプションは、予約時に一律で案内するだけでなく、施術中に体の状態を見ながら提案することも検討に値します。「肩がかなり張っていますね、延長でもう少し重点的にほぐしましょうか」といった、施術者ならではの気づきにもとづく提案であれば、単なる追加販売ではなくお客様への気遣いとして伝わります。
一方で、オンライン予約の段階でもオプションを選べるようにしておくと、「行ってから提案されて迷う」という負担を減らせます。基本コースの予約画面にオプションの選択肢を用意しておくと、事前に決めておきたいお客様と、当日相談したいお客様の両方に対応できます。
オプションの「お得感」を表示する際の注意
オプション込みのセット価格を訴求する際、「単品合計〇〇円→セット価格△△円」のような比較表示をしたくなる場面がありますが、消費者庁は二重価格表示について次のような考え方を示しています。
同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照価格とする場合には、不当表示に該当するおそれはありません。同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえない価格を比較対照価格に用いる場合には、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるかなどその内容を正確に表示しない限り、不当表示に該当するおそれがあります。
出典: 消費者庁 二重価格表示(2026-07-22取得)
「単品合計」として表示する金額が、実際にその価格で販売してきた実績のあるものかどうかを確認したうえで比較表示を行うことが、不当表示のリスクを避けるポイントです。
オプション例を写真で見せる際の配慮
アロマ・ホットストーンといった演出オプションは、実際の施術風景を写真で見せると選びやすさが上がりますが、施術中のお客様の写真を使う場合は本人への配慮も必要です。
一般的に、本人を判別可能な写真の画像は個人情報には該当しますが、個人データ(個人情報データベース等を構成する個人情報)ではないと解されるため、あらかじめ本人の同意を得ずに展示等を行っても、法第27条第1項に違反するおそれはないと解されますが、利用目的を通知又は公表することは必要です(法第21条第1項)。なお、プライバシーの権利や肖像権の侵害に当たる場合もあるため、例えば展示期間を限定したり、不特定多数の者への提供に際しては自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましいと考えられます。
出典: 個人情報保護委員会 会社の行事で撮影された写真などを、当社内で展示する場合、写真に写っている本人からあらかじめ同意を得る必要がありますか。(2026-07-22取得)
スタッフのモデル撮影に切り替える、施術部位のクローズアップにとどめる、掲載前に一言確認するといった対応で、この配慮に応えられます。
まとめ
客単価向上は、基本料金の値上げだけが手段ではありません。基本コースをシンプルに保ちながらオプションメニューを充実させることで、お客様自身が納得して単価を上げられる選択をしやすくなります。こうして磨いたメニューをどう集客につなげるかは、「リラクゼーション店の集客は『症状』より『気分』で選ばれる」で解説しています。